
薄い布一枚
幻想?
それとも、私の願望?
「平日の昼間でしたら、こちらとしては、火、木、金に来ていただければ助かるんですが、西脇さんのご都合はいかがですか?」
「あの、何の話をされているんだか、わからないんですけど……」
「アルバイトの面接に来たんじゃないんですか?」
「アルバイト?」
単純な誤解が解けると、互いに笑い合った。
「それじゃあ、あなたはここに何をしにきたんですか?」
それは……。
言葉に詰まった私をあざ笑うような表情が相手の顔に浮かぶ。
思わず私は一歩あとずさった。
狭い部屋の壁が背中にあたる。
「西脇さん……」
自分の首筋に後藤良平の唇があたるのを感じたとき、私は肩に掛けていたショルダーバッグを床に落とした。
服の上から掴まれた乳房は痛いくらいだ。
これが、あのときの手だろうか?
電車の中で、私のお尻を触ったあの手と同じなのかどうかわからない。
後藤良平の手が私の身体を服の上から触る。
脇腹を、腰を、太腿を……。
だけど、肝心のお尻には触ってこない。
太腿に置かれていた彼の手が、ずり上がってきて、スカートの裾を押し上げた。
身体を締め付けられるのが嫌いな私はガードルやストッキングを身につけていない。
ブラジャーもワイヤー入りのものは持っていないくらいだ。
今、これ以上、手を入れられたら困る。
あまりにも無防備な自分のスカートの中を思い出して、身体を引こうとしたが背中が壁にあたっているので逃げ場がなかった。
スカートの中に入ってきた彼の指先がパンティの薄い布一枚の上から秘部に触れてくる。
「んっ……」
初めから後藤良平に好感をいだいていた私は、彼のすることを本気で止めようとは思っていなかった。
布ごしに擦られる感触が気持ちいいけど、もどかしいと感じていると、私の考えを読んだかのように、彼の指が下着の中に忍び入ってくる。