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心臓がドキドキ

過去の恋人の誰かに、そこについて何かを言われたというわけではないし、実際に他人と比べたわけでもない。

 

女のそこが大きいのが良くないのかどうかもわからなかったけれど、思春期に初めて自分のそこを見たときのショックがいまだに尾を引いているのだろうか。

 

自分の身体の一部が、あまりにもグロテスクなことを知って、少女の私は大きなショックを受けたのだった。

 

指がクリトリスを中心に擦り始める。

 

静かな室内に、湿った音と、男の荒い息遣いと、自分の心臓の音だけがうるさいほど耳についた。

 

色気もそっけもない室内は静かで、数台のコンピューターから、うなるような低い音が聞こえてくるだけだ。

 

壁に背中を預けた私は、初対面に近い、なにも知らない男に下着の中に手を入れられている。

 

自分は、こんな大胆なことをする女じゃないはず。

 

でも、現にこうしているのは間違いなく自分自身なのだ。

 

こんな馬鹿な話、親友にだって話せない。

 

電車の中でお尻を触られたのが気持ちがよかったから、わざわざ痴漢に会いにいって、触られているなんて。

 

本当にばかげている。

 

「あっ……」

 

彼の指が私の中に入ってきた。

 

太くて肉付きのよい指で、内部を探るようにされると気持ちがよくて声が出てしまう。

 

「西脇さん」

 

耳に唇が触れるほど近くで、囁かれる。

 

「たえこ…って、呼んで下さい」

 

「妙子さん、ここから先も、していいんですね」

 

「はい……」

 

不思議と私にためらいはなく、こうなることが初めから決まっていたとさえ思えてくる。

 

彼が私から離れて、ズボンと下着を一気に脱ぎ捨てる。

 

そういえば、あと二十分くらいで、誰かがくるんだった。

 

私は急いで、スカートとパンティを脱いだ。

 

目の前の彼のペニスは、すでに大きくなっているように見える。

 

私は、それを右手で触りながら、左手を彼の首に回した。

 

顔を上げると、目が合う。

 

自然な笑みを浮かべている優しそうな瞳をみつめていると、右手の中のペニスがぐんとひと回り大きくなり、硬度も増した。

 

立ったままでするなんて初めてで、どうしたらいいのかわからない私は、言われるままに片脚を上げて彼の身体に巻きつけるようにした。

 

不安定になった身体を支えるために、両手で彼の首に抱きつく。

 

太い指が、秘部の濡れ具合を確かめるように、私の中を掻き回す。

 

グチュグチュと卑猥な音が、静かな室内に大きく響いた。

 

その感触を堪能している暇もないくらい素早く指は抜かれ、後藤良平の硬くなったペニスが指の代わりに入ってこようとしている。

 

期待で心臓がドキドキする。

 

彼の肩ごしに見える無機質なコンピューターのモニターが、まるで私を監視しているかのように、ときどき勝手に画面を切り替えた。

 

膝を曲げて低い姿勢になった彼が、下から突き上げるようにして私の中に入ってくる。

 

中を満たす充実感で、彼のペニスが夫のものよりも太いことがわかった。